新人に「なんでできないの」と言う人がいる。私はこの言葉が苦手だ。
“なんでできないのかをなんで考えないのか”と思う。自分は初めからできていたのだろうか。わかりやすく教える工夫はしているのか。自分の理解のはやさと、相手のそれを一緒にしていないか。
気持ちに余裕がなかったのかもしれない。ただ、新人は“なにがわからないかがわからない状態”である。まして、わかりにくいなどとは言いづらいだろう。そこに追い打ちをかけるように「なんでできないの」と言うのは違う。
もちろん、教わる側も気をつけることはある。わからないことをそのままにしていないか、わかったふりをしていないか等々。
「あの新人なんでできないんだろうね」と話題をだす人がいる。心配としてではなく、悪口を言う前提の空気で。そういう話しはなぜか盛りあがる。誰かをおとしても自分が優れていることにはならないのに。
私はこういった類いの話に心がザワつく。
聞かされて嫌な気持ちになる人がいると考えないのかと思う。それに誰かが聞いているかもしれない。後輩や新人に伝わったら?彼ら彼女らが自分も言われているのでは・・・という気持ちになることだってありうる。
しかし今の私に「その話題はやめてほしい」と言う度胸はない。だから話題を変える。そして、自分だけはその人のことを見捨てないようにする。
なぜそこまで考えるのか。それは私が10代から20代前半にかけて「なんでできないの」と言われ続けてきたからである。言われるとどういう気持ちになるか知っている。自分と同じ苦労は減らしたい。
そんな私。